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文鳥 (夏目漱石) 28分割入力文の数= 28 <<  1  2   >>

門人の手配で飼い始めた可憐な文鳥。きれいな姿と鳴き声は昔の女性を想い出させるが…。動物との接点を通して、漱石の深い孤独と悲しみがにじむ一作

作家や目的で選ぶ

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    443
    IA01391 (2020-12-02 評価=3.80)

    (漱石が)早稲田に移り暇そうにしていると、(門下生の)鈴木三重吉が来て文鳥をお飼いなさいと言う。頬杖のまま適当に答えていると、今度は籠を買いなさいと言いだした
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    426
    IA01392 (2020-12-02 評価=3.50)

    万事を三重吉に依頼する事にする。すぐ金を出せと言うので五円札を渡すと、三重吉は彫金された紙入れの底へお札を押し込んだ。しかし鳥と籠は容易にやって来ない

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    392
    IA01393 (2020-12-02 評価=4.00)

    その後、三重吉はたびたび来るものの、文鳥の話をしない。暖かい季節なら文鳥も鳴きよかろうと思っていたが、霜が降る季節になると文鳥のことを忘れてしまった
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    398
    IA01394 (2020-12-02 評価=3.50)

    三重吉が(漱石門下生)豊隆と一緒にやって来た。籠を一つずつと、大きな箱を持っている。籠は台がうるしで塗ってある立派なもので、三円だったという

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    388
    IA01395 (2020-12-03 評価=3.50)

    鳥がきれいだ。薄暗い中にいると鳥とは思えないほど白い。三重吉は籠について説明し、鳥の世話や籠の掃除の仕方などを付け加えた。なかなか手数が掛かりそうだ
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    326
    IA01396 (2020-12-03 評価=4.00)

    (鳥の世話を)はいはい引受けると、毎朝餌と水をかえろと餌壺と水入れを並べる。義理にも文鳥の世話をしなければならないが、できなくても家のものがどうかするだろう

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    308
    IA01397 (2020-12-03 評価=3.50)

    三重吉は縁側へ鳥籠を置いて帰った。翌朝餌をやるのが大儀で、八時過ぎになってから、鳥籠を明るみに出した。鳥は早く起きたかったろうと思うと、気の毒な気がした
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    441
    IA01398 (2020-12-03 評価=4.00)

    籠を箱から出すと、文鳥は首を傾けて自分の顔を見て、ちちと鳴き、別の止まり木に移った。文鳥はしきりと首を左右に傾ける。また止まり木を移動し、自分の顔を覗き込んだ

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA01399 (2020-12-04 評価=4.00)

    三重吉は、文鳥が逃げないように、両手で籠の戸をふさぎながら餌をやる方法を説明したが、両手を使って餌壺を籠の中へ入れる方法は、つい聞きそびれた
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    367
    IA01400 (2020-12-04 評価=4.00)

    だが、隙をうかがって逃げるような鳥とも見えない。粟(あわ)と水の壺を中に置くと、文鳥は止まり木に戻り、白い首を半ば横に向けて自分を見あげた

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    431
    IA01401 (2020-12-05 評価=4.00)

    小説を書いていて筆が進まない時、縁側で文鳥が千代千代と鳴いた。そっと出ると、文鳥はこちらを向いて、いい声で千代と言った
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    340
    IA01402 (2020-12-05 評価=4.00)

    餌壺は文鳥が縁に乗っても釣り鐘のように静かだ。文鳥は軽く淡雪の精のようだ。餌を食べる時の咽喉の微かな音も面白い。小人が黄金の槌で瑪瑙の碁石でもたたいているようだ

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    290
    IA01403 (2020-12-06 評価=4.00)

    嘴の色は紫を薄く混ぜた紅のようで、口先は象牙を半透明にしたような白さである。嘴の動きが非常に早い。書斎に戻ると、縁側では文鳥がちちと鳴き、折々は千代千代と鳴く
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    287
    IA01404 (2020-12-06 評価=4.00)

    夕方文鳥が小さい嘴に受けた水の一しずくを仰向いて呑み下していた。晩に籠を箱にしまい、翌朝は八時過ぎに遅くなって箱から出したが、文鳥は不平らしい顔もしなかった

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    431
    IA01405 (2020-12-07 評価=3.00)

    昔美しい女が机にもたれている時、帯上の房の先を撫で回したことがある。文鳥が自分を見たので、もう嫁に行ったこの女を思い出した。鳥籠は掃除して餌をやり、水をかえた
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    405
    IA01406 (2020-12-07 評価=5.00)

    文鳥も淋しいから鳴くのだろうか。しかし文鳥は籠の中を飛び回り、不平らしい様子はない。翌朝、昔の女の顔を想い出してなんとか起き、文鳥の世話をした

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    386
    IA01407 (2020-12-09 評価=4.00)

    三重吉によると、文鳥は馴れると人の顔を見て鳴き、指先から餌を食べるようになるそうだ。だが翌朝も怠けてしまい、縁側に出ると、誰かが文鳥の世話をした後だった
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    336
    IA01408 (2020-12-09 評価=3.00)

    だが、昼過ぎに縁側に出た時には、餌も減り水も濁っていたのでかえてやる。翌朝も遅く起きると、(昨日同様)籠は出て餌と水も新しくなっており、文鳥は千代千代と鳴いた

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    472
    IA01409 (2020-12-10 評価=4.00)

    火鉢の予備の炭がなくなったので、取りに行くと、文鳥がきゃしゃな一本足で籠の中の止まり木に止まっており、眠そうな顔をしていた
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA01410 (2020-12-10 評価=3.00)

    文鳥の世話は家のものがしてくれるから、責任は軽くなり、文鳥の声を聞くのが自分の役目のようになった。縁側に出ると必ず文鳥を見るが、自分の顔をみても鳴いてはくれない